私が多肉植物の株分けで3年間失敗し続けた理由
正直に告白します。私が多肉植物の株分けに初めて挑戦したのは、育て始めて2年目の春でした。当時のエケベリアが見事に群生し、「これは株分けのチャンス!」と意気込んで作業したものの、結果は惨敗。親株も子株も全て枯らしてしまいました。
初心者時代の3つの致命的な間違い
振り返ると、当時の私は株分けに関する基本的な知識が完全に欠けていました。最も大きな失敗は、真夏の7月に作業を行ったことです。多肉植物の多くは夏に休眠期に入るため、この時期の株分けは株にとって大きなストレスとなります。

さらに、使用していた道具も問題でした。家庭にあった普通のハサミで根を切断していたのですが、これが細菌感染の原因となっていたのです。清潔でない道具を使用することで、切断面から病原菌が侵入し、根腐れを引き起こしていました。
「見た目の判断」が招いた連続失敗
3年間で合計15回の株分けに挑戦しましたが、成功率はわずか20%程度。失敗の最大の要因は、株分けのタイミングを見た目だけで判断していたことでした。「子株が大きくなったから分けよう」という安易な考えで、実際には根の発達が不十分な状態で分離を行っていたのです。
特に印象的だったのは、お気に入りのハオルチア・オブツーサの株分けで失敗した時でした。見た目には立派な子株が3つ付いていたのですが、分けてみると根がほとんど発達しておらず、全ての子株を失ってしまいました。この経験が、私の株分けに対する考え方を根本から変えるきっかけとなったのです。
株分けに成功するまでの試行錯誤の記録
多肉植物の株分けを始めた当初の私は、まさに「やってはいけないこと」のオンパレードでした。ITエンジニアという職業柄、理論的に考えて「根を綺麗に分ければいいだろう」と安易に考えていたのが最初の間違いでした。
初期の失敗パターンと原因分析
1年目の失敗記録:
– 挑戦した株数:15株
– 成功率:わずか20%(3株のみ生存)
– 主な失敗原因:根の切断面からの腐敗

当時の私は、園芸用ハサミで根を無造作に切断し、すぐに植え付けていました。結果として、セダム系の12株中9株が根腐れを起こして枯死。特に「虹の玉」は株分け後1週間で全体が黒く変色し、完全にダメにしてしまいました。
2年目の改善と新たな課題:
成功率は40%まで向上しましたが、今度は「乾燥させすぎ」という新たな問題が発生。切断面を1週間乾燥させていたところ、親株自体が弱ってしまうケースが続出しました。
転機となった3年目の気づき
転機は3年目の春、エケベリア「ブルーバード」の株分けで訪れました。この時初めて、品種によって最適な株分けタイミングと方法が大きく異なることを実感。ブルーバードは成長期の4月に株分けを行い、切断面の乾燥を3日間に短縮したところ、5株すべてが順調に根付きました。
この成功体験から、「一律の方法ではなく、品種特性に合わせたアプローチが必要」という重要な教訓を得ることができました。現在では成功率90%以上を維持できるようになった背景には、この試行錯誤の積み重ねがあります。
株分けに適した多肉植物の見極め方
私が5年間で200種類以上の多肉植物を育てる中で学んだのは、すべての多肉植物が株分けに適しているわけではないということです。特に忙しい社会人の方には、失敗リスクの低い品種から始めることを強くおすすめします。
株分けしやすい多肉植物の特徴
株分けに適した多肉植物には共通点があります。まず、子株が親株の周りに自然に発生する品種を選ぶことが成功の鍵です。私の経験では、セダム系(虹の玉、乙女心など)、センペルビウム、アロエ系が初心者には最適でした。

これらの品種は、親株からランナー(地下茎)や側芽を出して自然に増殖するため、人工的に分ける必要がありません。実際に私のベランダでは、虹の玉が1年で親株1つから子株15個まで増え、それぞれが独立した根系を持っていました。
避けるべき品種と見極めポイント
一方で、私が失敗を重ねたのは単幹性の品種(アガベの一部、パキポディウムなど)での株分けでした。これらは本来、種まきや葉挿しで増やすべき品種で、無理に株分けすると根を傷めて枯死のリスクが高まります。
見極めのポイントは、株元を観察することです。子株が自然に発生している、または小さな芽が複数見える品種は株分け適性が高いと判断できます。逆に、太い単一の茎から葉が放射状に出ている品種は、株分けではなく他の増殖方法を選択すべきです。
平日の限られた時間しか植物の世話ができない社会人の方には、まずセダム系から始めて成功体験を積むことをおすすめします。
失敗から学んだ株分けの最適なタイミング
私が株分けで何度も失敗した最大の理由は、タイミングの見極めができていなかったことでした。「なんとなく大きくなったから」という曖昧な判断で株分けを行い、根を傷めて枯らしてしまうことが続きました。
成長期の見極めが成功の鍵
株分けの成功率を劇的に上げたのは、植物の成長期を正確に把握することでした。多肉植物には春秋型、夏型、冬型があり、それぞれ活発に成長する時期が異なります。
私の失敗例として、夏型のアガベを真冬に株分けして失敗したことがあります。12月に行った株分けでは、分けた子株5つのうち3つが根付かずに枯れてしまいました。しかし、同じアガベを6月の成長期に株分けした際は、全ての子株が2週間以内に新しい根を出し、成功率100%を達成できました。
具体的な株分けタイミングの判断基準

現在私が実践している判断基準は以下の通りです:
春秋型(エケベリア、セダムなど)
– 3月下旬〜5月、9月〜11月上旬
– 新芽が活発に出始めた時期
夏型(アガベ、カランコエなど)
– 5月〜8月
– 葉の色艶が良く、成長点が活発な時期
冬型(アエオニウム、リトープスなど)
– 10月〜2月
– 休眠から目覚めて動き始めた時期
特に重要なのは、株分け後の管理期間を考慮することです。根が完全に定着するまで約1ヶ月かかるため、その期間中も成長期が続くタイミングで行うことが成功の秘訣です。忙しい社会人の方こそ、このタイミングを守ることで失敗のリスクを大幅に減らせます。
根を傷めない株分けの正しい手順
根を傷めることなく株分けを成功させるには、正しい手順を守ることが何より重要です。私が何度も失敗を重ねた経験から、確実に成功する方法をお伝えします。
株分け前の準備段階

まず、株分けする2〜3日前から水やりを控えます。これは土が乾燥して根が柔らかくなり、作業中に折れにくくなるためです。私は以前、湿った状態で作業して根を大量に切ってしまい、その後の生育が著しく悪くなった苦い経験があります。
必要な道具は以下の通りです:
– 清潔なハサミまたはカッター(消毒用エタノールで拭く)
– 新聞紙またはビニールシート
– 新しい培養土
– 適切なサイズの鉢
– 割り箸またはピンセット(細かい作業用)
実際の株分け手順
1. 鉢から株を取り出す:鉢を逆さにして、底穴から軽く押し出します。無理に引っ張ると根が切れるので注意が必要です。
2. 土を優しく落とす:手で軽く揺すりながら、古い土を3分の2程度落とします。完全に取り除く必要はありません。
3. 分割ポイントを見極める:自然に分かれている部分を探します。無理に分けようとせず、既に分岐している箇所を選ぶのがコツです。
4. 根を傷めない分け方:手で優しく左右に分けます。どうしても分かれない場合のみ、清潔なハサミで最小限の切断を行います。
私の経験では、エケベリアやセダムは手で簡単に分かれますが、ハオルチアは慎重さが必要です。特にハオルチアは根が太く、無理に分けると株全体が弱ってしまうため、自然な分岐点を見つけることが成功の鍵となります。
分けた後は切り口を1日程度乾燥させてから植え付けることで、根腐れのリスクを大幅に減らせます。
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