多肉植物イベント販売を始めたきっかけと初回の大失敗
私が多肉植物のイベント販売を始めたのは、ベランダで育てていた株が増えすぎて置き場所に困ったことがきっかけでした。仕事のストレス解消として始めた多肉植物栽培でしたが、気がつけば200種類を超える株数になり、「このままでは部屋が植物園になってしまう」という危機感から、地元のフリーマーケットへの出店を決意したのです。
準備不足で迎えた初回の大失敗
2019年4月、初めてのイベント販売は正直言って大失敗でした。前日まで仕事に追われていた私は、準備が完全に後手に回っていました。具体的な失敗内容は以下の通りです:
- 価格設定が曖昧:値札を作らず、その場で価格を決めていた
- 植物の状態が悪い:前日に慌てて植え替えをしたため、根が安定していない
- 陳列方法が素人丸出し:段ボール箱に並べただけの見栄えの悪さ
- 接客準備ゼロ:多肉植物の育て方を聞かれても上手く説明できない

結果として、6時間の販売で売れたのはわずか3株、売上は1,200円という散々な結果でした。しかし、この失敗が私にとって貴重な学習の機会となり、その後のイベント販売での成功につながる重要な経験となったのです。
お客様との会話の中で「育て方がわからないから買うのを諦める」という声を多く聞き、販売だけでなく、育て方の指導も含めたサービス提供の重要性を痛感しました。この気づきが、現在の私のイベント販売スタイルの基盤となっています。
イベント販売前の準備段階で押さえるべき重要ポイント
イベント販売を成功させるためには、当日の接客スキルよりも事前準備が8割を占めると私は考えています。初回のフリーマーケット参加時、準備不足で売上が期待の半分以下だった苦い経験から、現在は必ず3週間前から準備を開始するようになりました。
販売する多肉植物の選定と価格設定
まず重要なのは、イベント会場の客層に合わせた植物選びです。私の経験では、園芸イベントでは珍しい品種(ハオルチア・オブツーサなど)が好まれる一方、フリーマーケットでは初心者向けの丈夫な品種(セダム系、エケベリア系)の方が売れ行きが良い傾向にあります。

価格設定については、同じ植物でも鉢のサイズや仕立て方で差別化を図ります。例えば、同じセダム・虹の玉でも、2.5号鉢で300円、寄せ植えにして500円といった具合に、価格帯を分散させることで幅広い客層にアプローチできます。
什器と陳列用品の準備
陳列方法は売上に直結する重要な要素です。私は高さの異なる台を組み合わせて立体的な陳列を心がけています。特に、100円ショップで購入できるアクリル製の階段状什器は、小さな多肉植物を効果的に見せるのに最適です。
また、植物の名前と簡単な育て方を記載したポップの準備も欠かせません。「水やり:月2回程度」「置き場所:明るい窓辺」といった具体的な情報を添えることで、初心者の方でも安心して購入していただけます。
当日の運営に必要な備品チェックリスト
イベント販売では、以下の備品が必須です:
– おつり用の小銭(1000円札×10枚、500円玉×20枚は最低限)
– 植物を包む新聞紙やクラフト紙
– 持ち帰り用の袋(マチ付きが理想)
– 霧吹き(植物の乾燥対策)
– 値札や修正用のマジック
特に見落としがちなのが植物の水分管理です。イベント会場は屋外の場合が多く、風で土が乾燥しやすいため、定期的な霧吹きでの水分補給が売れ行きを左右します。
多肉植物の選定と価格設定で学んだ販売戦略

イベント販売で最も重要なのは、商品の選定と価格設定です。私が10回以上の販売経験で学んだのは、「売れる多肉植物」には明確な法則があるということでした。
売れ筋商品の見極め方
最初の3回のイベントでは、自分の好みで商品を選んで大失敗しました。レアなハオルチアやアガベを高値で並べても、全く売れません。お客様が求めているのは、初心者でも育てやすく、見た目が可愛らしい品種だったのです。
現在私が必ず持参する定番商品は以下の通りです:
– セダム系(虹の玉、乙女心):300-500円
– エケベリア系(桃太郎、ピンクルルビー):400-800円
– 寄せ植え完成品:1,000-1,500円
特に寄せ植えは利益率が高く、1日で10個以上売れることもあります。
価格設定の実践的コツ
価格設定では、「心理的価格帯」を意識することが重要です。私の経験では、500円以下の商品は「お試し購入」として手に取りやすく、800-1,200円の商品は「本格的な趣味として」購入される傾向があります。
また、「3つで1,000円」のような組み合わせ販売も効果的です。単品では400円の商品でも、3つセットにすることで客単価が上がり、お客様にもお得感を提供できます。

イベント販売では、商品の回転率も考慮する必要があります。持ち帰りが大変な大型株よりも、手のひらサイズの可愛らしい株の方が圧倒的に売れやすいのが現実です。
フリーマーケットと園芸イベントの違いを活かした出店戦略
私が10回以上のイベント販売を通じて最も重要だと感じたのは、フリーマーケットと園芸イベントの特性を理解し、それぞれに最適化した戦略を立てることです。同じ多肉植物を販売するにしても、来場者の目的や購買行動が大きく異なるため、アプローチを変える必要があります。
フリーマーケットでの戦略:価格重視の幅広い層へのアプローチ
フリーマーケットの来場者は「掘り出し物を見つけたい」という心理で会場を回っています。私の経験では、300円~800円の手頃な価格帯の多肉植物が最も売れ筋でした。特に効果的だったのは「3個セット1,000円」のようなセット販売です。
フリーマーケットでは、多肉植物の知識がない方も多いため、「水やりは月2回程度でOK」「室内でも育てられます」といった育てやすさを前面に押し出した説明が重要です。実際、私のブースでは育て方の簡単な説明書を付けることで、リピーター率が30%向上しました。
園芸イベントでの戦略:専門性を活かした高付加価値販売
一方、園芸イベントの来場者は多肉植物への関心が高く、品種名や特徴を詳しく知りたがる傾向があります。ここでは1,500円~3,000円の希少品種や珍しい品種が人気でした。
園芸イベントでは、「この品種は冬に美しく紅葉します」「成長すると子株をたくさん出すので増やしやすいです」といった専門的な情報提供が売上に直結します。私は品種ごとの特徴を記載したPOPを作成し、来場者との会話のきっかけにしていました。

この使い分けにより、フリーマーケットでは数量重視、園芸イベントでは単価重視の効率的なイベント販売が実現できるようになりました。
当日の接客で効果的だった声かけテクニックと実践例
多肉植物のイベント販売で最も重要なのは、お客様との自然な会話から始まる接客です。私が10回以上の販売経験で学んだ効果的な声かけテクニックをご紹介します。
初心者のお客様への効果的なアプローチ
「この子、実は水やりは月2回程度で大丈夫なんです」という具体的な管理方法から会話を始めると、初心者の方の不安が一気に和らぎます。私の経験では、この声かけで約7割の方が足を止めてくれました。
特に効果的だったのは、実際に自分で育てている同じ品種の写真をスマホで見せながら「これが1年前の状態で、今はこんなに大きくなりました」と成長過程を説明する方法です。リアルな育成体験を共有することで、お客様の購入意欲が格段に高まります。
購入につながる具体的な声かけ実践例
イベント販売では、以下の声かけパターンが特に効果的でした:
- 「お部屋のどちらに置かれる予定ですか?」 – 置き場所に応じた品種提案ができる
- 「初めて育てられるなら、この3種類がおすすめです」 – 選択肢を絞って決断をサポート
- 「この時期なら、植え替えも簡単にできますよ」 – 季節に応じたタイミングの良さをアピール
特に印象的だったのは、「枯らしてしまったらどうしよう」と不安そうな30代女性に対して、「私も最初の1年で5株ダメにしました。でもそれで水やりのタイミングが分かったんです」と失敗談を共有したところ、安心されて3株購入いただけたことです。
完璧な説明よりも、同じ目線での体験共有が最も効果的な接客テクニックだと実感しています。
ピックアップ記事



コメント